新卒で入社して8ヶ月が経とうとしている20代女性からの相談。
自分の希望通りに採用された会社を辞めたいと言う。
理由を聞いてみると
ようやく仕事にも会社にも慣れてきて、教育を担当してくれる上司や周囲の社員ともコミュニケーションが取れるようになった。と同時に、周りが少しずつ見え出した。
仕事場に蠢く人間関係。会社全体を取り巻く経営環境。上司と部下のパワーバランス。
慣れるにつれ見えてくるものは、決してキレイなものばかりではない。
むしろ知りたくなかった、そうであって欲しくなかったことも少なくない。
そして新人が場に慣れてくると、教育担当にも慣れが出る。
「教育」に綻びが見え始める。
総合職で入職した彼女。
念のための確認に、「それくらいやっといてくれない?」
ようやく精一杯の行動に、「100%の仕事しかしないよねー。もっとガツガツして欲しいんだけどなぁ」
「やる気が見えないよねー」
新人に関わる3人の上司それぞれの方針が統一されておらず、組む相手が変わるたびに「やり方が違う」と指導された挙句、舌打ちされたり、叱責されたり、仕事を回さなかったり。
戸惑う本人に「使えねぇ」と言わんばかりの態度は、かなりあからさま。
挙句、「募集しても男子こないしさぁ」と。
本人に今の仕事をどうしたいか聞いてみると
望んだ職種なので頑張りたいが、この会社でなくてもいいのかなと思って。
そもそも、私はこの会社に必要なのかなって。
教える。育てる。ということは、一朝一夕にはできないし、一筋縄ではいかない。
根気もいるし、忍耐力も必要だ。
何にも増して、全社で共有できる「育成計画」も不可欠。
新人が定着するのには越えなければいけないターニングポイントがある。
場に慣れるのに3ヶ月目。
ルーチンが何となく腑に落ちる6ヶ月目。
場と人と仕事を見渡せるようになり始める9ヶ月目。
そして1年経てば、一通りの山谷を経験して、いよいよ成長期へとなる。
彼女の場合は、この9ヶ月目が目前。
本人のメンタルが一番ブレやすい時期にあたる。
100%の仕事ができて何が不満なのか?
期待値が大きいのなら、更に寄り添い成長を促せば良い。
上長の方針が統一できていない、しない、できない。
これは新人の責任ではない。
育成計画の共有ができていないからだ。
そもそも計画すらないのか。
挙句、「使えねぇ」「男子がこない」とは度を越したパワハラである。
「私はこの会社に必要ですか?」
この一言は、この時期あちこちで耳にする。相談も受ける。
取り巻く環境は様々だが、この一言を重く受け止めていない現場が多すぎる。
育成できない言い訳をするなよ。